第4回 <17世紀の製本スタイル(1)>
担当 修復本科 栗田衣里子 2006.09.10
今回紹介する書籍はパーチメントで装丁されています。当時は革よりもパーチメントのほうが安価であったため、部数の多い書物に用いられていました。この装丁から部数が多く、どちらかといえば簡易製本であると考えられます。
この時代の表紙にはタイトルが書かれていないことが多くあります。また、パーチメントの特徴としてインクを吸わないということが挙げられます。そのため、パーチメントの装丁ではタイトルが表紙ではなく小口に書かれていることがあります。
この書籍は1646年に刊行されています。
これまでに紹介したものとは違い、数字で表記されています。
花切れ(1色)
この花切れの芯には白い革が使われており、綴じ糸と同じ糸で芯に巻きつけるように編まれています。
また、花切れの芯には装丁と同じパーチメントが使われていることもあります。
花切れの芯は表紙に突き通されており、紙と結合しています。
パーチメントの装丁のものはこれまで紹介したようなボードではなく
厚紙程度の薄い表紙の場合が多いです。
パーチメントは乾燥すると縮んで硬くなるという性質を持っているため、
割れたりのど(↑)の部分が破れやすいのです。
図 版
この書籍の図版は張り込みで本文部分とは異なる紙で印刷されています。
ページ数
上段の「127」は通しのページ数で、下段の「R」は見出しごとのページ数です。
〈資料〉カルディム 『日本殉教精華』1646年、ローマ.
CARDIM ( Antonio Francisco ) ,FASCICULUS E IAPPONICIS FLORIBUS
資料提供:(株)キクオ書店(http://www003.upp.so-net.ne.jp/kikuo/)