23:クラウドファンディングについて

クラウドファンディングについて NPO 法人書物研究会 代表理事 板倉正子

私達は、この度、長年の研究の蓄積を『図書の修理とらの巻』という本にまとめ刊行す べく、その資金を得るために、2017 年 1 月 27 日~3 月 8 日迄、クラウドファンディングに 挑戦しました。

その結果、111 名の方が総額¥1,022,000 の支援をしてくださいました。 まずは皆様方に心よりお礼を申し上げます。 この成功は、力強く、そして適切なアドバイスをしながら一緒に走って下さった 株式会社 READYFOR 様の担当の方のおかげでもあります。

私達はNPO 法人として発足以来、常に資金面での困難を抱えてきました。活動のアイデアはあってもいわゆる先立つも のが乏しい状態で、細々と今日まで来ています。助成金も何度か挑戦しましたが、(現在までに奈良県より2回授与)書物 修復という分野は、「文化」「アート」などのカテゴリーに入りにくく申請も難しい状況でした。このような事情から、新 しい寄付システムとしての「クラウドファンディング」に注目し、今回採用させて頂きました。

クラウドファンディングはわが国ではまだまだなじみの薄いシステムで、「クラウドファンディングって何?」という人 から、「最先端ですね!」と云ってくださる方まで、世間の知名度は様々です。その特徴は、資金集めだけではなく、私達 の活動を知ってもらい、賛同してもらうための仕組みとして、IT時代ならではの仕組みと云えます。テレビコマーシャ ルを流せるような大企業はともかくとして、財政基盤の小さなNPOが広報する手段としてはピッタリだと言えます。又 プロジェクトに成功すると、READYFOR のサイト上に記事が掲載されたまま残りますので、無料の広告を掲載して頂いてい るともいえます。

今回は初めての経験でしたが、プロジェクトが進んでいくうちに、色々なことを学ぶことが出来ました。計画と目標の わかりやすさや十分な説明の必要性に加え、明るい画像なども影響することが分かりました。また、自分が他の方のプロ ジェクトを見て、どんな計画に賛同するのか、応援したいという気持ちになるのか、又どのようなリターン(返礼品)に 魅力を感じるのかなど、外からの視点についてです。

NPO 法人とはどのようにあるべきなのか、を模索しながら活動を続けてきたこの十数年は、どのように活動資金を得る かという問題と深くかかわります。その意味においても、クラウドファンディングは今後の私たちの活動と大いに関連す ると考えられます。今回の経験を通じて、どんな良い活動も、皆さんに知っていただくための努力をすることが必要だと つくづく感じました。

先日、READYFOR 様の主催により、3 月にプロジェクト目標額を達成した方々の集ま りがあり、参加しました。実際の達成件数は百数十件に及びますが、遠方ということ もあり、十数件のプロジェクトの実行者の方々が参加されました。どの方も、ユニー クな活動をパワフルに展開されており、圧倒されました。硬直した古いシステムにが んじがらめになって、本当に役立つ活動がとてもしにくいこの国にあって、一人一人 が自分たちのプロジェクトを力強く展開していくためのクラウドファンディングと

いうシステムは、単に資金集めだけでなく、人的ネットワークの構築にも有効な手段です。今後はこのシステムの恩恵を 受けながら、どんどん活動を広げていきたいと胸を膨らませています。

株式会社 READYF 様<https://readyfor.jp/>には心より感謝を申し上げます。 平成 29 年 4 月 21 日

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