16:被災資料クリーニングボランティアに参加して 修復本科 川原淳子
2011年7月5日、6日の2日間、仙台に事務局をおくNPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(以下宮城資料ネット)の被災資料クリーニング作業にボランティアとして参加してまいりました。
1日目は、仙台駅から少し沿岸部に行ったところにある仙台市向田資料収蔵庫にて、資料の洗浄作業をしました。ひとまず凍らせてあった資料を真空凍結乾燥する前処理のため大雑把に綺麗にする作業です。ビニール袋に入った凍結資料(石巻文化センターのファイルなどが主)を水に浸けて半解凍状態にしながら外側の泥やパルプ(製紙工場が被災してそこのパルプが流れてきて付着したそうです)を刷毛、竹串、筆などをつかって落としたら、紙ナプキンである程度水気をとり綺麗な袋に詰め直して作業終了。これらの資料はこの後、仙台空港近くの冷凍庫へ行くそうです。
作業は14名ほどで行いました。東京の大学から先生が学生を数名連れて来られていたり、神戸からも歴史資料ネットワークの方など3名が参加されていました。
2日目は宮城資料ネット事務局内で資料のドライクリーニング作業をしました。海に流された神社の資料ということでしたが、引き上げた後、持ち主の方がすぐに乾かしていたのでカビなどは生えていない良好な状態。和綴じの大福帳などで、これらに付着した泥を刷毛、竹へら、竹串で落としました。これはクリーニング後そのまま持ち主に返すとのことでした(海水に浸かったものなのでもしかしたら塩抜きが必要かも?とも)。
まわりでは、膠着した資料にエタノールを噴霧して剥がす作業や、襖の下張り剥がしの作業が行なわれていました。襖の下張りは何層にもなっていて、一番下には江戸時代の書付が貼られていました。被災でもしないと見つからない資料だと事務局の方はおっしゃっていました。
洋本を扱うのとはまた違い、必要以上にこわごわと作業をしてしまい、時間がかかりすぎてあまり有効なお手伝いにはならなかったのですが、現地の状況が少しでもわかりましたので、また機会がありましたら仙台へ行きたいと思います。宮城資料ネットには、まだまだ被災資料レスキューの依頼が来ていて、これからも人手は必要なようです。
以上ご報告まで。