レポートVol.24 フランス紙漉き体験記(1)
フランス紙漉き体験記(1) (2008年9月8日~12日) NPO法人書物研究会 代表理事 板倉正子
手漉きの洋紙
「手漉き」といえば「和紙」の話で、「洋紙」に手漉きがあるとは、製本をはじめるまで長い間知らなかった。書物修復の仕事をするようになって、ヨーロッパの美しい手漉き紙に接する機会が多くなり、漉き目や透かしに関心を持つようになった。
現在でも手漉き紙は、イギリスやイタリア、フランスなどで作られており、用途は主に版画や絵画の用紙として、また古版本の見返し紙や修復用として用いられている。
パリから南西に約450キロ、TGV(フランスの新幹線)で約3時間の所にAngoulume(オングレム)という小さな町がある。もう1時間走ると、ワインで有名なボルドー地方である。
資料によるとこの町は中世からの紙漉きの町で、その後工業製紙に引き継がれ、タバコの巻き紙や封筒、新聞用紙などを生産していた。1900年代半ばに産業としては完全に衰退し、現在は紙漉き博物館としてその名残をとどめているのみである。
Moulin du Verger. www.moulinduverger.com
1539年に設立されたこの紙漉き場は、現在でも17.8世紀の手法で伝統的な紙を漉いている。この紙漉き場で手漉き紙の体験をし、その紙で16~18世紀の紙表紙の製本を学ぶ、というのが今回のワークショップの内容である。紙漉きの講師はジャック先生、製本はクリストファークラークソン先生、参加者は10名。主催はコンサベ-ション・バイ・デザインというイギリスの修復関連機器の会社である。
www.conservation-by-design.co.uk
■ Moulin du Verger(紙漉き場)
■ 紙の原料を作るジャック先生<Jacques Brejoux 氏>
■ 紙を漉く■ 紙をつるして乾燥
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手漉き和紙ではネリの原料としてトロロアオイが主に使用されていますが、海外ではどのようなものが使用されているのでしょうか。