レポートVol.02     遺愛学園様預かり図書修理記録「DONE IN THE OPEN」 2005.7

遺愛学院様預かり図書修理記録

修 理 記 録    2005.6.8

タイトル// DONE IN THE OPEN
著者// FREDERICK REMINGTON
年代// 1902
版元(出版地)// R.H.RUSSELL PUBLISHER

傷みの様子・表紙

*表紙と中身が分離している。表紙の小口は、紙が破れ、芯のボール紙が所々むき出しになっている。

*背の麻布は汚れ、背表紙の芯紙は接着剤が劣化して、剥がれかけている。

*大型本にしては、表紙と中身の結合が弱いため、全体の重量が結合部分に大きな負担をかけたためと思われる。

傷みの様子・本文

*見開きページに綴じ糸を通さないような構造のため、別紙で足継ぎをし、綴じ込んであるが、その紙の劣化が進み、破れている。

*そのため綴じがバラけてしまっている。

*接着剤も紙に悪影響を及ぼし、茶色く変色させている。

修理手当て

*ドライクリーニング=はけ、消しゴムなどで、チリ、ホコリなど汚れを落とす。表紙、背表紙、小口、本文全ページ。

*クリーニングしながら、紙の破れ、欠け、シミなどをチェックし、紙片にページ数などを記録したものをはさんでおく。

注意点: 表紙が紙の場合は、ケシゴム掛けは十分注意。紙を傷めそうな場合はブラシ掛けのみにとどめる。
場合によっては水拭きも効果があるが、できるだけ水は使わない。

解 体 <全解体・再製本>

*表紙と中身を分離する。綴じ糸を引っ張りすぎて本文用紙を破らないように注意。

*背表紙布と紙の継ぎ目をはがし、表紙を3部に分離。背の芯ボール紙を剥がす。

*本文の綴じ糸を切り、綴じを解体する。
(ページが書かれていないことがあるので。事前にナンバリングをする。)
*ページ立てが変則的なので、足継ぎ紙の巻き方向など十分に注意する。

手当て

*パーツを保存

*接着剤が残り本文が変色している箇所は、サンドペーパーなどで清掃。

*和紙で新しい足継ぎをする(元の紙の厚みに近い紙)

*材料は元使いが望ましいが、耐久性などを考慮し、和紙を採用。

*糊の濃さに注意。

*完全綴じなおしをする。背の厚みと綴じ糸の太さを考慮。 (和紙は洋紙に比べ薄いので、背の厚みをかさ上げするために通常より太めの糸を使用)

*表紙布は厚手の和紙で裏打ちをする。

*表紙の紙は元使い。

*表紙の背と平を結合する。

*背の天地を折り曲げる。

*整備した表紙に本文をはめ込む。

*ミゾの緩みを十分に確保する。

*見返しと表紙を張り合わせる。

*プレスをする。