洋書

わが国において西洋式製本法が公式に導入されたのは明治6年である。それ以前にもキリスト教の宣教師によってもたらされたと推測されるが、一般の出版物がいわゆる洋本、の形で書店に並ぶようになってから日は浅い。

他方、ヨーロッパにおいてはパピルスやパーチメント(古式製法の獣皮)の巻物からコデックスと呼ばれる冊子体に変化するのは2世紀から4世紀ごろといわれている。ヨーロッパでは、11、2世紀に製紙法が伝わるまで、パ-チメントが書写材料として長く使われてきた。

そのため書物の仕立ても、表紙に楢などの木材を使うなど重厚な構造になっており、現在の私たちがイメージする書物とはかなり様相の違うものである。また15世紀半ばに活版印刷術が発明されるまでは書写による書物で、その制作には長い時間を要した。また一冊の書物に200匹の羊が必要だったとも云われている。

ヨーロッパにおいても、書物形態に関しての研究が始まったのはつい最近のことである。『製本のABC』(ABC of bookbinding/1998 by Jane Greenfield)や『中世書物の考古学』(The archaeology of medieval bookbinding/1999 byJ.S.Szirmai)など。

わが国においては、15世紀の初期印刷本以前の写本類を実際に目にする機会はほとんどないと言ってよい。また大学図書館においても、多数所蔵しているところはあるが、18世紀以前の書物のほとんどは貴重書扱いになっており、目にする機会は少ない。

そのような理由で、西洋書物の製本形態とその変遷についての研究などは、ほとんどなされていないと言ってよい。
ここでは形態の変遷を概略的に図示しておく。

なお、書物の形態の歴史については、大内田 貞郎理事の論文「書物の装訂[册子装]のルーツ」を参照されたい。


和書


花ぎれ

見返しの構造