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 レポート47
 ■ スイス講座を受講して(2)             代表理事 板倉正子  
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 平成23年11月の海外研修では、前述の、スイス・アスコナにある製本修復学校 (centro del bel libro) の定期講座へ の参加ともに、ルツェルンにある州立図書館を見学した。ルツェルン州立図書館には長年の友人であるカティーが修復室長と して働いている。ルツエルンは、チューリヒからアスコナへの途上に位置していることや、友人がそろそろ定年を迎える年に なっているので、職場に在籍している間に一度見学しておきたいとの考えもあって、今回の訪問となった。 
 今までは主に大学図書館などでの貴重書の修復技術に焦点を絞っての見学が多かったが、今回は、公共図書館での貴重書の 保存および保管などに関して、特に保存函の使用例などについて実際例を見ることが目的だった。

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<スイス・ルツェルン州立図書館> 撮影:岡田玲子
 この図書館は現在引っ越しの途上で、蔵書の一部はすでに新しい建物に移送され、残りの蔵書および閲覧室や図書館の機能 そのものはまだ移転できていない状態、ということだった。移転業務はすでに3年越しで、時間がかかっている理由は、予 算の関係で新しい建物がまだ完成できていない、とのことだった。そんな状態の中、私達は、こじんまりとした閲覧室や、 修復室、貴重書庫などを見学することができた。
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<閲覧室> 撮影:岡田玲子
 閲覧室の壁には歴代の図書館長の写真が飾られており、高い天井と明るい照明が親しみやすい雰囲気を作り出している。 特に印象的だったのは、緑いっぱいの中庭で、庭での読書を楽しめるように、ところどころにイスがおかれていたことだった。 雑誌のブースは整然と並べられていたが、冊数が少ないのは、すでに一部分は新しい建物に移送されているとのことだった。
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<雑誌の書棚> 撮影:岡田玲子

 中庭は11月終わりとあって、さすがに外で読書する人影は見当たらなかったが、まだ夏のように深々と緑が生い茂っていた。さりげなく、それでいてているの行き届いた庭は、気候の良い時期に訪れ、一度はこの庭で読書を楽しみたい!と感じさせる、ステキな庭だった。

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<図書館の中庭> 撮影:岡田玲子
 カティーは修復工房や自分のオフィス兼作業場、書庫などを順序よく見せてくれた。図書館内は本当にこじんまりと
した建物なので、見学もしやすかった。途中、カメラのバッテリーが切れてしまい、全部の部署を撮影することができず
残念であった。
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<断裁機を調整している見習いの女性> 撮影:岡田玲子
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<シェル型ボックス(夫婦箱)中性紙ボードでできている> 撮影:岡田玲子
 小さな図書館とあって、所蔵の貴重書の数はさほど多くはないが、日本の図書館のように、貴重書庫の奥深くしまいこまれているのではなく、修復室の一番近い部屋に保管されている。常に、修復専門員の目の届くところにあり、閲覧の要請に応じて、すぐ取り出せるようになっている。
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<タトウ型中性紙ボックス> 撮影:岡田玲子
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<一枚もの資料【地図など】のためのかぶせ函。引き出しやすいように、麻のテープの持ち手がついている>

撮影:岡田玲子

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<立体的な表紙の特殊な本> 撮影:岡田玲子
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<本を入れるためのブックシュー付差し函> 撮影:岡田玲子
 これからの函つくりとその提案において、多くの実例をみ、また様々なアドバイスを得て、実り多い一日であった。


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