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レポート

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 レポート64
 ■ 第22回東京国際ブックフェア見聞録
   
<2015年7月4日東京ビッグサイトにて>
 理事 板倉白雨
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 昨年に続き今年も470社が出展するという日本における最大規模の本の祭典、東京国際ブックフェアーを覗いてきました。年を追う毎に規模が大きくなり、また、時間を追う毎に会場は通勤列車並みの混雑になり、正直、覗いたとしか言えない状況でした。昨年は初日でしたが、今年は最終日だったので余計にそう感じたのかも知れません。それは、ブースに出展している各社が10〜20%引きして大声でたたき売りしていて、どうやらそれを目当てに来場している人による混雑もあった様に思えました。来年は9月開催になり二割増し規模になるとの情報が会場でささやかれていました。
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 さて、昨年報告する予定だったことも含め、今年の報告をしたいと思います。

 昨年は初日だったので、立花隆さんの基調講演を聞くことができました。テーマは『「知の巨人」が読み解く出版の現在、過去、そして未来』でした。さすがに面白く刺激的でした。帰ってからすぐに、彼が話題にした本を買いました。キンドルの開発者が語る読書の未来『本は死なない』と、老練愛書家二人の書物をめぐる対話『もうすぐ絶滅するという紙の書物について』です。

 立花さんの話をざっくり纏めると、二つ強い印象がありました。
 一つは、日本にもこれから1、2年で電子書籍の時代が来る、もうタブレットで教科書を読む時代になっているというのです。それは、小中学校へのタブレット端末の導入が始まっていて、まだ現在はモデル校だけだが、持っている子と持っていない子では圧倒的な差がついていて、ここ1、2年で急速に導入が広がるだろうと彼は予想していました。

 もう一つは、人は何のために本を読むのかを立花流に読み解いた話でした。それは、情報欲求とエンタメ欲求の二つの欲求の為であるというのです。 「欲求するのは脳であり、脳はコンピュータではなく、単にデータを入れればいいということではない。電子書籍での読書は、紙の書籍の読書とは違い、ユーザーの考えたい欲求、感じたい欲求を必ずしも満たしてくれるものではない。紙の本には、電子書籍に収まらない大きさ、スケールがありコピー不能な質感、クオリティがある」から電子書籍はまだまだ紙の本には及ばないと結論づけました。

 最終的に、彼は日本でもアメリカでも、本を読まない層が増えていて、学びの中核にあるのは書物であり、人間は読書をする唯一の動物であるから、本を読まない人の脳は劣化していくと警告を発していました。この手の彼の予測はよく的中すると定評があります。肝に銘じておきましょう。


 先端技術の祭典的なところもあるブックフェアですが、今年は、オンデマンドによる出版に関する紹介が増えたように思われました。
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 実際に製版から製本までこなしてしまう、かなり大がかりな機械を設置してデモストレーションをしている会社もありました。

 立花さんの予想通り電子書籍関連のブースも一気に増えていた様です。電子書籍を読む・売る・作る関連の様々なサービスやハードウェアーを紹介するブースが特に元気だと感じられました。

 今年は、廊下のような空間に昨年になかった洋書バーゲンセールがあり、そこはまるでスーパーの特価売り場のように人々が群がっていました。

 一部ここは中国かと思うほど中国語が飛び交う一帯もありましたが、理由は解りませんが、びっくりしたのは、日本を除いて各国の中でイタリアからの出店が一番多く、またアラビア系の国々からの出店も増えていたことです。

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 昨年は製本関係の出店がありましたが、今年はありませんでした。

 その代りと言ったら良いのかブックカバー(革製・襖紙など)のブースがありました。目にした時にはもう半額セールをしていましたが・・・。
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  最後に造本装幀コンクールの展示コーナに寄って、出品・入賞カタログの昨年と今年のものを買いました。新館の教室の本棚に入れてあります。

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