粘着テープには様々な種類があり、又そこで使用される接着剤も年々開発が進み、近年ますます多様になってきている。取れにくい物、取れやすい物、痕が残る物、残留物が変色する物、など中々一筋縄ではいかない問題である。 また、表紙のはずれの修理に、荷造りテープやビニールテープなど、接着できるものなら種類構わず使ってしまう「愛書家」の存在は、どこの国でも同じらしい。
又もっと厄介なことに、「アーカイバルテープ」とか「アルカリバッファー入り」などもっともらしいネーミングでさも安全であるかのように売り込まれる図書館用品は、未熟なコンサバター(書物修復の専門家)たちを混乱させ、かえって甚大な被害を本にもたらしている状況があることも各国共通である。日本でも、「メンディングテープ」という名の接着テープがページの破れの修理に、セロテープより優っているかのようなイメージで売り出されているが、実はセロテープより厄介な代物である。
さて、そのような粘着テープを剥がし、接着剤の残留物(ネバネバ)を拭い取ることはなかなか難しい問題である。また、何年も前に貼られ、すでにテープの部分ははがれてはいるが、接着剤の残留物が黄土色のシミとなってページに残っているものは、その除去はなおさら難しい。もちろんこのような処置は専門家の手にゆだねられるべき問題で、一般の愛書家の方々には、「せめてそのような粘着テープをあなたの大切な本に使わないでください」とお願いするばかりである。
次回は、テープの剥がし方をざっと説明する予定である。
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