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レポート

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 レポート03
 ■遺愛学院様預かり図書修理記録
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修 理 記 録    2005.6.8

タイトル// Holly Bible
著者// 
年代// 1952
版元(出版地)// New York <Thomas Nelson & sons>

傷みの様子・表紙

*表紙の平と背の部分が切れ、背表紙が剥がれ、背の中身がむき出しになっている。
表紙の角、クロスが破れボール紙の芯がむき出しになっている。

傷みの様子・本文

*本文全体に綴じと背固めの緩みあり。背の形変形。
表紙と本文の結合部分にちぎれあり。
補強の布(寒冷紗)は接着剤の劣化により剥がれている。

修理手当て

*ドライクリーニング=はけ、消しゴムなどで、チリ、ホコリなど汚れを落とす。表紙、背表紙、小口、本文全ページ。
クリーニングしながら、紙の破れ、欠け、シミなどをチェックし、紙片にページ数などを記録したものをはさんでおく。

注意点:いかなる書き込みも消してはいけない。
ペーパーコンサベーション=本文などの破れ、欠けなどを紙で継ぐ、ページの折れグセを直す。

解 体

*本文と表紙を切り離す。表紙の平と背を切り離す。
必要に応じて、背の形を整える。
表紙、クロスをめくりあげる。表紙裏側、見返し紙ものど部分をめくりあげる。
背表紙は、裏の厚紙を取り除く。

解 体<本文>

*本文の綴じがしっかりしている場合は、解体は必要なし。

*背の形状が変形している場合は、背の補強紙などをめくり、湿り気を与え、整形しなおす。

解 体<表紙>

*表装素材により、扱いは異なる。革・製本用クロス・製本用布・紙など。

*特に革や製本用クロスは年代により素材が年代により大きく異なるので、印刷年代、出版年代を確認する必要がある。

修理手当て

*本文と表紙の結合 =本文折丁の真ん中よりコード(麻紐)を通し、そのコードを表紙に突き刺して、表紙と中身を結合させる(綴じ付け)。
表紙の角の傷みは、接着剤をいれ、角を補強する。元のクロスをめくりあげ、下に新しい革を挿入して角をくるむ。元のクロスを革の上に貼り戻す。
接着剤は澱粉糊を使用。ボンドや他の化学糊は使わない。

修理手当て

*背の部分にクーター(紙のチューブ)を貼る。これは表紙と本文の結合を補強し、本を開きやすくする。
背の部分に新しい革を入れる。革端は、下のクロスの下にもぐり込ませる。

*元の表装素材がクロスの場合、必ずしも革を使用する必要はないが、布や製本用クロスより、扱いが楽で、仕上がりが美しい。
背の天地には、補強のため太めの麻紐などを巻き込んでおく。
時に応じて見返しののどに薄い和紙(美濃紙)を貼って補強とする。

仕上げ

*新しい背革の上に、元の背を貼り戻す。 *元の背は、新しい素材となじみやすいように、薄くしておく。

*接着剤は、でんぷんのり、ゼラチン、膠、などを使う。できるだけボンドなど化学糊は使用しない。

*もとの背を貼り戻すとき、中心線がずれないように、よく注意すること。
*開き具合を確認する。
表紙のつなぎ目に余分な力がかかっていないかどうか、など。

本を修理する時の注意点

1 元の状態の記録をとっておく。= 傷みの状態や、元の仕様をできるだけ詳しく。
2 健全な素材、材料を使用する。
3 可逆性のある処置 = 接着剤など再度剥がせるものを使用する。
4 オリジナリティーの尊重 = できるだけ元の仕様、素材、デザインを残す。
5 修理跡を違和感のない程度に残しておく。

<元の製本方法に構造的欠陥がある場合は、改良を加える>

様々な物理的制約のある中で、修復家は常に自分の哲学と良心に基づいて作業を進めなくてはならない。



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